2026-07-31

夜に眠くなる部屋、ならない部屋

あなたは、夜になると自然と眠くなるだろうか。あるいは日付が変わってもまだ眠くない。けれど、そろそろ寝るべき時間だから、横になって眠気が訪れるのを待つ。そのようなことになってはいないだろうか。

私は昔から、縁側の猫みたいに早く寝てしまうため、夜更かしができる人に憧れていた時期がある。コーヒーを三杯飲めば、なんとか23時までは起きていられる。しかし、24時の壁だけはどうしても越えられなかった。限界を感じた私は、夜更かしに定評のある友人たちの家を訪ね、その秘訣を探し出そうとした。そのなかで気づいたことがある。彼らの部屋は、明るかったのだ。

文化の違いを知るために、交換留学をするみたいに、私は夜更かしの猛者たちを家に招いた。そして、何か改善点があれば教えて欲しいと伝えた。案の定、彼らは、私の部屋の暗さに苦言を呈した。まるでドラキュラみたいじゃないか、と。たしかに私は、21時を迎えると、蝋燭とオイルランプを灯し、すべての照明を消す習性があったのだ。

 

太陽の動きに合わせて

電気のない時代。私たちに夜の訪れを教えてくれるのは、月と太陽だった。陽がしずみ、月明かりが照ると、動物の身体は、自然と活動を終えるようになる。眠気がやってきて、深い眠りにつく。翌朝、東の太陽が、朝の訪れを告げると、身体は目覚めはじめる。次第に活動的になり、午前の仕事をはじめる。そうした繰り返しのなかで、私たちは何万年も暮らしてきた。

電気が生まれたことで、夜の境界が少しずつ曖昧になった。真夜中でも明るい場所が増え、私たちは、いつまでも活動的で居られるようになった。松明(たいまつ)を持つことで、暗闇の洞窟へ進むことができるように、電気は私たちに夜の世界を開拓させてくれたのだ。遅くまでバーで飲んだり、レイト・ショーを観たり、夜の森を散歩したり。革新的な発明は、夜の世界に次の可能性を与えてくれた。

私たちの身体は、環境に慣れる。夜遅くまで、明るい部屋で過ごすことを当たり前としていれば、誰もがフクロウのように夜更かしになるのだろう。あるいは逆に、太陽に合わせてフェード・アウトする設計にしていれば、たとえ夜更かしの達人であっても、数ヶ月後には、23時の壁が大きく感じるようになるかもしれない。

 

眠気を払うのではなく、お迎えする

夜に眠くなることは、生産性が落ちたり、意志が弱くなった証ではない。むしろ、休みも働くことの一部だと、教えてくれているのかもしれない。だから私は、眠気をよそに払うのではなく、好意的にお迎えしたい。

部屋の照明を少し落とし、暖色の光を灯す。お風呂に浸かって身体を温める。香りを炊いてみる。一杯のワインを飲みながら、小説の続きを読む。私が眠気を歓迎すれば、眠気のほうも私を歓迎してくれるだろう。フカフカのベッドで、よい夢をみながら眠りにつく時間は、この世で感じられる至福のひとつだから。

住まいは、雨風を凌ぐだけの場所ではない。外で活動的に働いた心身を、休息へと切り替えるための場所でもある。夜を昼のように明るくすることは、便利に違いない。けれども、ときには便利さから離れてみると、見えてくるものもあるのではないだろうか。

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